狐の眠り姫


刹那。


銀色の風が吹いた。

「失せろ。低級。」
聞き覚えのある、低い声。
檜の香り。
黒の柔らかな髪…。
彼が、振り向くとそこにいた。
こないだ見たのと変わらない仁平で。
鳥肌が立つ。
心臓が静かに鼓動を速めていく。
「………きつねさん…?」
「レイ。俺の名は、レイだ。」
そう告げた彼の手には、鬼の角が握られていた。
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