狐の眠り姫
妖怪にも、家があるのだろうかと不思議に思った。
普段だったら男子の家に上がり込むなんて恥ずかしくてできないが、相手は狐。
それに、もう正直やけになってたのだ。
この時の私は。
だから、途中から見慣れない道を歩いていた事に気が付いたのは、しばらくたってからだった。
めまいがする。
例えるなら、感覚は乗り物酔いに近い。
ふっと視線を上げると、朱く塗られた一軒家があった。
木造に瓦屋根の立派な家に、少したじろぐ。
「ここ…?」
レイは、頷いた。
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