狐の眠り姫
家には、誰もいなかった。
「親御さんは?」
と聞くと、彼は「いない。」と冷たい表情で答えた。
「いない………?」
「死んだよ。俺が十の年に。」

…どくっ……

心臓が大きく音を立てた。
これ以上を聞いてはいけないことを悟る。
踏み込んではいけない…。
レイに、嫌われたくないと感じる自分の心に戸惑った。
この思いは、何……?
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