狐の眠り姫
『レイ。私ね、楽しかったよ。』
彼女が澄んだ声で紡ぐ言葉を茫然自失の中聞く。
『ごめんね。もうお別れなの。』
どうして?
『レイ。』
ふわりと彼女は唇を重ねた。
感触がない。
冷たい風しか感じない。
君は…魂だけで来たのか?
『好きでした。』
彼女の身体が透き通ってゆく。
抱きしめようとしても、掴めない事に動揺する。
まてよ。
なんで、消えそうなんだ?
もっと、もっと、話そう。
だから、行くな。
いくな……………っ
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