狐の眠り姫
五日後、葉は、自宅へ帰宅しようとしていた。
していたのだ。
帰り道の途中で、葉は妖怪に出会った。
昔からよくあることだが、今回は相手が悪かった。
  「鬼」
女の美しい鬼は、彼女を見つけるなり、「笑った」のだ。
だから、葉は今、全力で逃げている。
捕まったら喰われる。
走る。
鬼は少女の足掻きを楽しむようにじわじわと追い詰めてゆく。
遊んでいるのだ。
喰われる者の、必死な姿を眺めて。
「性悪…っ」
お札くらい、貰ってくれば良かったと、後悔した。
この間、神社に行ってきたばかりなのに。
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