† 黒猫とクラウン †
「月影、お前そんなに珍しいテイルズだったのかよ!?」

『黒牙様の血を引くあなた様のテイルズは、我が一番適任でしょう?』

月影は笑って答えた。

『月影様、あなた様のご主人の紹介をお願いします』

司会もいつもより丁寧な口調に変わっていた。

『わたしのご主人は、化け猫族の私なんかより、もっと貴重なお方です。まぁ、そうでなければ、わたし達化け猫族は人間を主人とは呼びませんが』
月影は苦笑いしてそう言った。

・・・と、そのとき。

『セスラ!』

昔の名で叫ばれた月影は、声のした方向を見る。

『お前みたいな奴が、なんでそんな人間にへこへこしてやがる!それに姿だって、なんでただの猫に変化(ヘンゲ)してんだよ!化け猫族は誇り高いテイルズじゃないのかよ!簡単に頭下げてんじゃねぇよ!!』

そう怒鳴ったのは、主人に「ガーテル」と名づけられた、獅子族の者だった。

どうやら月影とは知り合いのようだ。

月影はというと、何故か怒っているように見える。

『ガーテル貴様、我が主人を侮辱したな?我がただの人間に簡単に頭を下げるとでも?ほざけ!我ら化け猫族が誇り高い一族であるからこそ、このお方に頭を下げておるのだ!この方に無礼を言う資格など、おぬしは持っておらん!』

『ふざけるな!じゃあなんで変化してやがるんだ!』

『ふざけるなじゃと?それはこちらの台詞だ。わしが意図的に変化しておるのではない!この方の力によって、力を封じられておるのだ。おぬし、歴史の勉強はしっかり習ったか?《化け猫族が真の姿を封じられるとき、それは夜の王が復活する前兆》とな!』
月影のこの言葉で、ざわめきがテーブルに広がった。

『夜の・・・王・・・だと!?』

ガーテルが唸る。








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