† 黒猫とクラウン †
違う・・・。

僕じゃない。

勝手に出てきた言葉。

きっと黒牙の考え。

でも、黒牙も僕と同じ事を考えていた。

黒牙は優しい支配者だったんだ・・・。

そう分かっただけで嬉しかった。

「じゃあ、ガーテルはこの会が終わるまで、ここにいてもいい。ただし、ここから一歩でも外へ出ると、さっき言ったように力を5年間封じられるからね。そこ気をつけて、楽しんでいってね!」

笑顔を見せて語りかけると、ガーテルは何度も頭を下げて喜んだ。

司会はその様子を見てから

『えーでは、月影様、紹介を続けてください』

月影はうなずくと

『さきほども言いましたように、わたしのご主人はかの有名な黒牙様の血をその身に宿しておられます。そして、黒牙様の血を宿しておられるということは、皆さんもうお分かりでしょうか?わたしの主人は黒牙様の尾、耳、爪、牙を装備することが可能です。それをすべて装備すると、主人は黒牙様のような、立派な化け猫に変化することが可能になります。すでに、その尾は装備してあります』

その場にいた皆が、目をキラキラさせて月影の話を聞いていた。

(・・・全部装備したら化け猫に変化できる?まてまてまて。聞いてないよそんなこと!)
と頭のなかでそんなことを連呼していると、

(えぇ。今言いましたから)

と楽しそうなレイブンの声が頭の中に返ってきた。

その言葉に、全く・・・という表情を乗せて月影を見た。

月影はというと、悪びれた様子も無く毛づくろいをしていた。


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