† 黒猫とクラウン †
確かに、2匹の体はユニコーンの毛で覆われ、額に長い角の生えた馬だった。ただ、ユニコーンと違うのは、その背に白羽鷲族特有の大きな翼を持っていることだ。
・・・これじゃまるで、おとぎ話に出てくるペガサスじゃないか。

でも、まだ魔族の中に「ペガサス族」ってのはいなかったみたいだな。

『よし、決めた!君らの種族名は、「ペガサス族」!』

『ペガサス族・・・!』

2匹は、自分達がやっと魔族の一員として種族名を貰ったことが嬉しくてたまらない様子で、僕があげた名をかみしめるように何度も繰り返していた。
『さーて。君らの種族も決まったことだし、そろそろこの檻から僕を出してほしいな~』
僕の言葉で、2匹のペガサスは慌てたように鍵を取りだし、檻の鍵を開けようとした。

『・・・と言いたいところだけど、生憎僕はこの怪我で動くことが出来ないし、魔力も今は空に近い状態にある』
2匹は一度だけ鍵を回すのを止めたが、僕が言い終えると再び鍵を回し始めた。

『・・・何故だ?僕はお前らを連れて逃げる体力は無いんだぞ?』

顔をしかめて2匹に問うた。

『それなら我らがご主人を外へとお連れします!』

と、ランディが言った。

『我々はご主人を守りたい!ただそれだけです!』

と、レンディが叫んだ。

『お、お前ら・・・』

僕は目を見開いた。

2匹はあっという間に檻の鍵を開けてしまうと、僕を2匹の並んだ背に乗せた。

『・・・逃げ切る自信は?』

『『あります!!』』

2匹は自信たっぷりに言うと、部屋の中を颯爽と走り抜け、廊下へ出た。

そしてそのまま真っ直ぐ入り口に向かって走り出した。

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