† 黒猫とクラウン †
少し走ると、後ろから大声が聞こえてきた。

『56号!57号!待て!何故黒牙をつれている!』

『さてはボスを裏切ったな!』

『愚か者!!』

そんな怒声を浴びながら、2匹のペガサスは涼しい顔をしていた。

『お前ら、なんで逃げ切れるって思ったんだ?』

『我らは、ここにいる魔物の中でも特に足が速いんです』

『もちろん飛ぶ方も得意ですよ』

確かに、怒声は聞こえるものの、確実に遠ざかっている。

・・・これは頼もしい家来が出来た・・・。

そんなことを考えていたら、自然と心の不安は無くなった。

『さあ、外です!』

レンディが言った。

目の前には森が広がっていた。

そしてもう一つ。

目の前に「いる」者がいた。

『あ・・・。ラーシ様・・・・』

ランディは怯えたようにそう言った。

足の傷は癒えてなどいないが、ランディの様子を見て、目の前の奴がやばい奴だってことは十分に分かった。
だから2匹の背から降り、そいつに問うた。

『お前は何だ?』

足の痛みをこらえながら。

『俺はアオヒグマ族のラーシだ。黒牙貴様、ここから逃げ出すつもりか?』

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