† 黒猫とクラウン †
『見て分からないか?そのとおりだ。だがてめぇに邪魔をされる覚えはねぇな』

『はっ。お前に無くてもこっちにゃあるんだよ!ってぇことで、お前はここから逃げることは出来ない。何故なら、俺が貴様を中に連れ戻すからだ。56号と57号もつれてな!』

『・・・なぁ、さっきから気になってたんだけど、56号とか57号とか、一体何の番号?』
『・・・我らの実験番号です』

レンディが答えた。

『そうか』

僕はそれ以上は問わなかった。

問うても、こいつらの心を傷つけるだけだと分かっていたから。

『で、ラーシだっけ?僕をどうやって中に連れ戻すつもり?』

『そりゃもちろん・・・、力ずくに決まってんだろ!』

言うが早いか、ラーシは猛スピードで僕に突進してきた。

『くっ!』

足が思うように動かない。

何とか体をひねり、突進を避けた。

『へへっ。あんた確か、足怪我してたんだっけなぁ?』

ラーシは言いながら口元に笑みを浮かべていた。

『この・・・極悪人がっ!』

残念なことに、僕は悪態をつくのが精一杯。

ラーシがまた突進を開始した。

『くそっ!せめて魔力があったら!』

ラーシはぐんぐん近づいてくる。

ぶつかる!

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