† 黒猫とクラウン †
と思った瞬間、ラーシの両脇に白いものが突っ込んでいった。

目を上げるとそこには、両脇からランディとレンディの鋭い角によって、わき腹を深々と突き刺されたラーシがいた。
『グフッ!?』
『我らの主人には、指一本触れさせん!』
とランディ。
『貴様はここで果てろ!』
とレンディ。

『あ、ありがとう・・・。助かった』
心をこめて礼を述べた。
そうでなければ命を救ってくれた2匹に失礼だ。
そう思ってホッとしたのもつかの間。

「ラーシ?」

人間の声。

それも、聞き覚えのある声。

久しぶりに聴いた声。

『・・・蓮?』

いや・・・。

まさか、そんなはずはない。

だって蓮は・・・月影の声が聞こえなかった。

『テイルズの主人なら聞こえてたはずだ!』

僕のいきなりの心の揺れに、角を刺したままのレンディとランディが心配そうに見つめてきた。
『蓮?・・・頼む・・・違うといってくれ!』
しかし、期待はあっさり裏切られる。
「その声・・・千影・・・か?」

言いながら木陰から出てきた蓮は、
< 42 / 42 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:0

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

公開作品はありません

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop