色、色々[短編集]
「俺が……どんな気持ちで……電話していたと思ってるんだよ……酔わなきゃ出来ないくらいに……」
ほんとに?
ほんと?
泣き出してしまいそうなユウスケの顔を、今度は私の手で包んだ。手からほんのりとユウスケの熱を感じる。
私の嘘にそんな顔をするユウスケを見れば何が嘘で何が本音か分かる。何を信じたらいいのか。
「ごめん……」
そう小さくつぶやいて、明るい光の元で、見つめ合った。
そしたらもう少し本音がわかる気がする。
そのまま流れるように抱き合った。
それがきっとお互いの答えなんだ。
「俺の事好きだろ?」
切なそうな顔のユウスケが私の視界に入る。
今までそんな顔で私に聞いていたの?
「好きじゃない」
明るい下で私はいつものように嘘をつく。
そしたらユウスケは、優しく笑って
「嘘つき」
そういうの。
闇に隠れてついていた嘘は光が当たれば丸わかり。
前より少し昼間が好きになった。
意地っ張りな私の嘘を暴いてユウスケに本音を伝えてくれるから。
前より少し夜が嫌い
何も見えなくて相手の本音も見えないから。嘘をついて、傷つけていたことを知ったから……。
だから……夜は嘘つきだった私だけど。
今日からは、昼間に嘘をついてあげる。
End