色、色々[短編集]
やりがいはある。仕事はキライじゃない。だけど――私は……いつまで働くんだろう。
いつまで、働けるんだろう。
男女平等とは言うけれど、男女は違うじゃない。
男と女はどうしたって同じにはならない。
男は子供を産めないし、女は力がない。
仕事をしていたって、男女は一緒じゃない。一緒の立場にいたって、第三者はそうはみない。そんなに簡単な事じゃない。
デザイナーだって、私が女であるだけで軽く扱ってきたり。相手が男性になれば急に掌を返したり。
女だから感情的だと決めつけられる。
女だから部下だと思われる。
同じように接しているつもりでも、同じにはならない。なりうるはずがない。
その場所で、私はいつまで働くことが出来るんだろう。
そして私は――いつまでも働きたいと思っているのだろうか。
そんな立場で――私は何を守れるんだろう。守りたいの? 男性のように。か弱い子供を必死に受け止めたいの? 達也と隆平を、何があってもご飯を食わすぞ、とか。不自由ない生活をさせてあげないと……と。
そこまでの覚悟を、私はちゃんと抱いている?
「あー終わった!」
同僚がぐいっと背を伸ばしたとき、時間は8時。
企画書もほぼフィックスで、今日はいつもよりも早く帰れそう。
それだけで心がふっと軽くなる。
「先輩、せっかくですし、飲みに行きます?」
「あーごめん、帰るわ」
「えー……」
後輩が私のそばにやってきて、眉をへの字に下げた。
その様子を見ていた同僚が「じゃあ、俺と行く?」と声を掛けていて、ぼんやりと気があるんだろうなーなんて思ったりしながら帰る準備を始める。
たまには早く帰ってあげないと。平日あまり起きている隆平に会えないし。
せっせと机を片付けている間に、飲みに行く話はそこそこ大きくなっていて、5人くらいが今から何処に行くかを話合っていた。
「じゃ、おさきー」
「お疲れ様ですー」
いいな、と思う気持ちがないわけじゃないけれど……仕方ない。