【短】秘密のサンタクロース
テレてなんか・・・ない!!


大きく足音を出して歩き出すあたしの腕が誰かに引っ張られる。

昨日と同じ感覚、伝わってくる体温にまた鼓動が音をたてた。


「一緒に帰ろ?」


『・・・』


なんで、あたしはコイツにお願いされると断れないんだろう。

ムカつくはずなのに、鼓動が甘く高鳴る。

胸がキュンと締め付けられる。


・・・なんで?


「HR終わったら行くから」


あたしの返事を聞かず、そう言い残し去っていく小川の背中を見た。


大きい背中がなんだか愛しく思えてくる。悔しいくらいに。


『颯・・・』


思わず呟いたその名前にぽっと頬を染めてしまう自分がまるで恋しているように思えた。



HRが終わるのを、待ちわびている自分がまるでアイツに恋しているように思えた。


・・・なんなんだろう。


この甘く、切ない気持ちは。





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