【短】秘密のサンタクロース
「塾、塾。じゃ、そうゆうこと。悪いな」


そう言ってまた男子との話に入っていくからなんだか無性にムカツいた。


なんだなんだなんだ。
朝の挨拶もなしに「1人で帰れ」だと?
冷たくないですかね?

なんだなんだなんだ。
こんな寒い日こそ小川がいてほしかったのに!!
1人で帰るの?


イライラをドアにぶつけたらドアがぴしゃん、と音を立てて自分でもちょっと驚いた。


なんだか、今日はちょっと朝から嫌な気分。


「おっはよ、椎名」


いつのまにか隣にいたユマの声に顔を上げる。


『あ、おはよう。ねえ、ユマ今日一緒に帰れる?』


あたしの言葉に顔を曇らせるユマ。
これはいい返事ではなさそう。


「ゴメン、うち彼氏と帰るんだあ~」


えっ、まじっすか。

ユマさん彼氏いたんすか。

そうなんだ、それは邪魔しちゃ悪いよね。


『そっか、わかった。』


「うん、ごめんね~」


『いいよ、全っ然』


なんだか寂しいかも。



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