【短】秘密のサンタクロース
「…そうだけど、でも…」
『わかった。もう1回いってくる』
それに、小川だって嘘、ついてたんだね。
昨日は塾いくからって言ってた。
だから一緒に帰れないって。
そりゃあ、塾なんて嘘だなって薄々気づいてましたよ。
でも嘘ついてまで友達と遊びたいならやめた方がいい。
止めたほうがいいよね?
人の少ない廊下の階段。
『小川・・・』
ちょっと走ったから息を落ち着かせながら呼んだ。
彼はあたしの声に顔を上げる。
その顔は不機嫌なまま。
あたしは何も言わず小川の横に腰を下ろした。
「なんだよ・・・」
『小川さ、昨日あたしが小林くんと帰ったから怒ってる?』
その言葉に隣にいる小川の肩がピクンと反応したのは見なくてもわかった。
「…普通、彼氏いるのに他の男と帰る?」
『でも、小林くんは同じ中学で家も近いんだもん。1人で帰るのもつまんないし…』
「つまんなかったら誰とも帰るの?」
うわ、怒ってる…。