【短】秘密のサンタクロース
それからすぐにあたしは渡されたプレゼントを持ったまま走り出した。


目的地は…小川の目の前。



でも…


「あ、小川?帰った~」


…はっ!?


帰っただと?


人にプレゼント渡しといてお礼も聞かずに帰るなんて。


でもいいよ、小川があたしに会おうとしなくてもあたしが会いに行くから。


手に持ってる赤い紙袋を揺らしながらあたしはそのまま学校を後にした。


不思議と寒くはなかった。


あたしはこれから小川にあう。


大丈夫、この手袋が小川に会いにいけるパスポートだから。

小川の家は前に1度いったきりだけど覚えてる。

まだ見慣れてない景色の中、赤い紙袋だけ持ったあたしは走っている。


公園の噴水の前を通り過ぎた時。


『あっ!!』


目の前に見えた大きな背中。

なんでも包んでくれそうな大きな手。
< 49 / 54 >

この作品をシェア

pagetop