【短】秘密のサンタクロース
『やだよ!誰があんたなんかと付き合うの!?』


「あんまり暴れると黙らすよ?」


そう口角を上げながら言われた言葉で背中がゾクッと寒くなる。

なんか嫌な予感・・・


ジリジリと縮まる彼との距離と共に次第に大きくなる鼓動の音。

このままだと彼に聞こえちゃいそうで。

聞こえたらなんだか恥ずかしいし、悔しいからあたしはさっきよりも強く体を引き離した。


「あはは、かわい~」


そんなあたしを見て傷つく様子もなくただニタニタ笑う彼。

・・・これ、本当にあたしのこと好きなの?

ちがうよね?


「まあ、いいよ。クリスマスまではまだ時間あるし。これからよろしくねっ」


時間あるって・・・今日12月1日だよ?


25日であたしがコイツに惚れるのは・・・ありえないと思うんですけど。


でも彼は自信ありげに笑いあたしの髪をクシャクシャとした。


・・・何、この人。


「椎名♡」


『~~~~っ!』


こんなヤツには呼ばれたくないけど。

でも悔しいけどコイツ、結構かっこいいから呼ばれちゃうとドキンとしてしまう。
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