湧き上がってきた悲しみとともに涙が溢れそうになるのをこらえながら、荷物をまとめた。






もともと少ない荷物だったから、すぐにまとまった。






こんな短い間に、この病院で、病室で、色んなことがあったな………







きっともう二度と、先生に会うことはないんだろうな………








でも、良かった。





きっともう二度と、あんな人に出会うことなんてないと思うし。





きっとあの人が、あたしの人生最初で最後の、心を開いた人になるだろう。







そして








最初で最後の、好きになった人………









人を好きになることなんて、一生ないと思ってた。






きっともう誰かを好きになることなんてないから。






初恋の相手が、先生で良かった………。







先生、あたしに恋を教えてくれて、ありがとう。





ほんとに、ありがとう…………。







さよなら、先生。








< 50 / 85 >

この作品をシェア

pagetop