絆
ベッドを整えて、病室をでた。
ケホッ
体がふらつく。
早く家に帰って寝ないと。
また倒れでもして、さらに両親を落胆させたくないし、ね。
荷物、重い、、
それでもばれないように、玄関までたどり着いた。
表にはもう車がついていて。
あたしが来たことに気づいた運転手が、ドアを開けた。
ケホッ…
「あたしに風邪、移さないでね。
仕事休めないから」
咳をしたあたしに、お母さんが言う。
ズキン、と胸が痛んだ。
大丈夫。
きっと、大丈夫。
今まで通りにすればいいだけじゃない。
嬉しいとか、悲しいとか、何も感じない。
そんないつもの生活に、戻るだけ。
今日からおじいちゃんはいないけど、1人でも大丈夫。
そう、きっと大丈夫…………。