絆
気がつけば、時計の針はもう5時半をさしていた。
ただでさえ時間のかかる準備なのに、今日はゆっくりしか動けなかったから。
大きな姿見で確認する。
今日は、海の様に綺麗な青のグラデーションのドレスにした。
普段はあまりメイクをするほうじゃないけど
熱のせいか顔が赤かったので、ファンデーションでカバーした。
髪を綺麗にまとめあげて。
心と体は悲鳴をあげていても
慣れってこわい。
小さな頃から同じことをやってきたため、
気分とは無関係にいつも通りの自分をつくることができた。
「麗様、お迎えのお車がもう外でお待ちです」
ため息を吐きたくなる気持ちをぐっと堪えて、車に乗り込んだ。