絆
ノック音に返事がされたのを確認してから、中に入る。
久しぶりにみた、お父さんの姿があった。
「麗か。
勉強は進んでるか?
麗にはしっかりして貰わないとな」
何ヶ月かぶりに会ったのに、
それしか言うことないの?
そう思っても、言える訳無い。
口から出かかった言葉を飲み込んで、
「はい、分かりました」
と、親子とはとても思えない短い会話に終止符をうつ。
お父さんと一緒に会場にはいれば、
そこにはもう既に沢山の人がいて。
私たちを見つけると、皆交互に挨拶してきた。
あたしは黙って微笑み、会釈する。
いくら早く帰りたいと願っても、どうせ時間にならないと終わらないんだから。