絆
心配しなくていいって…………
先生は何も分かってないから
だからそんなこと言えるんだよ………
「っ…………
先生は、何も、分かって、ないから…………っ…………」
「…嫌なんだ……!」
え?
「もう、嫌なんだ!
君が俺の前からまた消えてしまうなんて。
頼むから……
頼むから、言う通りにして………」
先生が、とても悲しい表情であたしを真っ直ぐに見つめてくる。
意識が朦朧としてるいまでも、それははっきりと分かって。
もう家のこととか、すべて考えられなくなっていた……。
先生の掌が、あたしの額に触れる。
その冷たい感触が気持ち良くて、ゆっくり目を閉じた。
薄れゆく意識の中で、先生の温もりだけは、しっかりと感じていた。