絆
コンコンッ
控えめなノック音のあとに、扉が開く。
「失礼します」
その姿、声、全部が予想通り先生で。
こんなにも近くにいる現実に嬉しさが込み上げてくる。
鼻の奥がツンとして、涙が溢れそうになった。
でもこの涙は
先生に会えた嬉し涙?
それとも……
気持ちを殺してまた別れなければならない悲しみの涙……?
先生は、ベッドの傍まで歩み寄って、ベッドサイドにあった椅子に座った。
沈黙が、痛い。
それをやぶったのは、やっぱり先生で。
「具合、どう?」
優しさを含んだ、柔らかい声。
「大丈夫…です」
「やっと…会えた…」
え?
「先生、責めないの…?」
てっきり怒られるのかとばかり思ってた。
「もちろん、聞きたいことを上げたらきりがないよ。
でも…
何か理由、あるんでしょ?」
どきり、と心臓が波打ったのが分かった。