絆
「取りあえず、今は絶対安静。
モニターついてるし、勝手に抜け出すことは許さないからね。
それと…」
それと何?
「それと、君は僕の彼女なんです。
勝手に居なくなるのも禁止」
そう言って先生は、首に掛けていた聴診器を耳につけて、聴診を始めた。
さらっと言われた先生の言葉のどれもが、深く、重い意味を持っていて。
全身に力が入って、固まっていた。
「緊張してる?
大丈夫だから。
力抜いて深呼吸してみよっか?」
先生が聴診器を当てながら、優しい声でそう言った。
言われた通りに深呼吸を繰り返すうちに段々と落ち着いてきて。
自然に深呼吸もできるようになって、体の力も抜けていた。