絆
あのあと先生は、急患に呼び出されて急いで出て行った。
急に一人になった病室は妙に静かで。
あたしの生きてる証を刻むモニターの音だけが鳴り響いている。
…どうしよう
彼女……
そう言われた瞬間、鼓動が速くなったのが自分でも分かった。
押さえなきゃ…
この気持ちは押さえなきゃいけないのに。
ほんとにどうしたの?
歯止めが効かなくなりそうな自分が怖い。
こんなのあたしらしくもない。
もう決めたでしょ?
先生を傷つけるくらいなら、自分が傷ついた方がまし。
何も悪くない先生を、あたしのわがままで巻き込みたくない。
早く退院して、病院からでなきゃ…
でないと、大変なことになる気がする。