絆
思考がついて行かない。
どうして?
話せるんじゃなかったの?
ポタッ
無意識のうちに泣いていた。
冷たい涙が頬を伝う。
力が入らなくなってしまったあたしは、
ドアをあけたまま、その場に座り込んでしまった。
「大丈夫か!?」
後ろからの声に、ゆっくり振り向いた。
白衣を着てる。
お医者さんかな。
ぼんやりとした意識の中でそのひとを見上げた。
その人はあたしの首筋に手を伸ばし、脈を診る。
「大丈夫か?
落ち着いて、こっちで話そうか」
されるがままに、
肩を抱き起こされて別の部屋へ連れていかれた。