彼の隣、カレのとなり






前世で愛した人が、自分以外の人間と幸せになるところを見るのは、やはり辛すぎるのだろうけれど・・・




でも、カレが好きだから、愛しているから、カレの幸せを願ってる




そんなの奇麗事かもしれないけれど、でも、カレには幸せになってもらいたい、その気持ちは、なんの偽りもない、私の本心だから





だからって、身を引く訳じゃない



カレのとなりで、カレの幸せになっていく姿を見ていく





それが、唯一私に出来ることだから・・・





彼の隣で見てきたことを、今度はカレのとなりでしていく




辛いけれど、それが私の使命なんじゃないかなって、今は思ったりもする







温もりを感じる腕の中、私は彼の面影の残るカレの顔を見上げる




叶わないと、分かっている恋に、胸が焦げるように締め付けられた



どうしても欲しいのに、手に入らない、欲することすら儘ならないもどかしさに、喉が焼けるように熱くなった




どうして言葉が通じないのだろう――



通じれば、私の気持ちだけでも、伝えることが出来るのに・・・




そんな想いに、乾いた笑いが込み上げた




何度考えて、何度諦めれば気が済むのだろう



飽きずにソレを繰り返す自分に、思わず笑ってしまう





.
< 15 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop