彼の隣、カレのとなり
あんなにも強く願ってしまったのが、そもそもの間違いだったのだろうか
まぁ、本当に願いが叶うなんて思ってもみなかったし、
ましてや記憶を持ったままなんて、考えてもみなかった
今思うが、人間は叶わないと思っているものこそ、神に願い、縋るのだ
――叶うことが分かっているのに、願うことなんてしないでしょう?
叶わないと分かっているものこそ神に願い乞う滑稽さに、言い表し様の無い怒りを感じ、しかし自分もその人間であったことを思い出し、心底呆れた
いや、違うな・・・
滑稽なのは、自分だ――
叶うことのない願いをいつまでも神に願い乞うのだから、もうそれは、滑稽としか言いようがない
自分の馬鹿さ加減に嫌になりながら、それでも、これからのことの決心を胸に
悲しいくらいに美しい月に照らされながら、カレの腕の中で眠りについた