彼の隣、カレのとなり
「リ、ザザッ・・・ィ」
かれの発する言葉に被さるように、嫌なノイズが混じった
そのノイズはどんどん大きくなって――
『何を言っているの??
全然聞こえないわ!!?』
それでもかれは話し続けた
笑顔で――
どんな話をしているの・・・?
何を話しているの?
ああもうっ、ノイズで聞き取ることが出来ないっ!!
『何を話してるの!?
分からないっ』
わたしは声の限り叫んだ
するとかれは、少し悲しそうな表情を浮かべて微笑んだ
どうしてそんな顔をするの・・・?
分からない・・・っ
どうして聞こえないのっ!!?
ノイズは大きくなっていく一方で、終いには自分の声でさえ聞こえなくなった
わたしは知らない。
かれが何を言ったのか
何を伝えようとしたのか
何一つ、聞き取ることが出来なかった――
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