彼の隣、カレのとなり
らいせ
今日も私は、この時間になると、
決まって玄関に座り込む
耳を澄まして、足音を聞き分ける
――カツン、カツンッ
カレの足音
少し崩していた体勢を、きちんとした座り方に直す
――ガチャッ
いつものことながら、カレは私を見て驚いたかのように、少し目を丸くする
――お帰りなさい!
私は駆け寄り、でも、カレのスーツが汚れないように、少し離れる
「ただいま」
大きな手で、優しく私の頭を撫でる
リビングへと向かうカレを、後ろから追いかける
ソファに上着を掛け、部屋着に着替える
私は何もすることが無いので、その様子を眺めているだけ
ドカッとソファに腰掛け、一息ついたら
「おいで」
そう言って、私を呼ぶ
呼ばれた私は、カレの膝の上にピョコンと飛び乗る