彼の隣、カレのとなり
ビールを片手に、私の頭を撫でる
テレビを見ながら、私の頭を撫でる
食後の一服をしながらも、私の頭を撫でる
見上げるカレは、私の知っている彼と違う
でも、おんなじ人
前世で、私の恋人だった人――
私は、前世の記憶がある
彼との日々の記憶が、今でもしっかりと残っている
顔は違えど、魂が一緒なのだと、本能が叫んでいた
カレの手も、仕種も、優しい眼差しも、全てが彼と一緒だった
どうしようもなく愛しい、彼と――
前世で死んだ私は、現世で猫に生まれ変わった
あの頃願った姿に――
彼の、飼い猫の姿に生まれ変わったのだ