彼の隣、カレのとなり






驚いた



もしかしたら彼が、前世の記憶を持っているのかも知れないと、そう思った




そう願った刹那、





「リリィって名前は・・・

なんだか、とても大事なものだった気がするんだ。



キミを見た瞬間、とても似合ってると思ったんだ」





そう言ったカレの顔は、遠くを見つめているようだった




――あぁ、カレは覚えていないんだ




淋しかった、けれど、大事なものだったと言ってくれた



カレが覚えていなくても、魂が覚えていてくれた、それだけで良かった、そう思えた







ベッドに入り、私はカレと一緒に眠った




あの頃と変わらない、彼の温もり――




どんなに姿、かたちが変わっても、本質は変わらないのだと、魂は変わらないのだと、



変わらない彼であることに、喜びを感じた





あぁ、良かった、カレに出会えて



生まれ変わっても、彼に出会えて、本当に良かった





心の底から溢れだす感情に、身を任せた








< 8 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop