彼の隣、カレのとなり






あの日から、どれくらいの月日が経ったのだろう




もう、あの凍てつくような寒さは消えていて、私は拾われたときよりも幾分マシな身体になっていた





窓から流れる雲を眺め、移り行く景色をただ見つめる毎日





そんな中、私にも“日課”というものが出来ていた




そう、カレの出迎えだ






いつも決まった時間に帰ってくる訳では無いカレを、玄関でずっと待っているのは、別に苦痛ではなかった





――早くカレの顔が見たい



そうして、カレの驚く顔を見たい――





会いたいと、逸る気持ちを抑えつつも、止め処なく溢れる気持ちに、心が華やいだ




こういう、たくさんの感情を味わえるのなら、長く待つのも、なんだか楽しく感じてしまうのだから面白い





そうしている内に、カレの足音が聞こえてきて、心が躍り立つのは言うまでもないが










実際のところ、まぁよくも飽きずに毎日やれるもんだなと、自分に驚いている







まぁ、前世の私も、待つのが嫌いじゃなかったのだと思い出して、やっぱり同じなんだなと思った











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