distance
嬉しいとか、通りこして、本当にびっくりした。


放心したままたっくんに両手を突き出したら、
「両手かよ」と笑いながら、右手も左手も握り締めてくれた。


「…百合香様が、たっくんと手をつなぎたい理由をたっくんに言えって言ったの」


「…俺と、手をつなぎたかったの?」


「そう!!!

だけどね、あたしだけが嬉しいのは淋しいから、淋しくならない方法を教えてくれたの」


たっくんは少し考えるようにして、それから


「……その理由が、“好きだから”?」


と聞いた。


「そう!好きだからね、手をつなぎたかったの!」


「そっか」


「たっくん、今、あたしと手をつなげて嬉しい??」


確認した。

そしたら、たっくんが、見たことないくらいの笑顔になって


「めちゃくちゃ嬉しいし、すげー幸せだよ」


って言ってくれたから、
百合香様のことが、間違いなく本当だってわかった。


「あたしも、どうしたらいいかわかんないくらい嬉しいよ!!!」


作戦が成功したのと、たっくんと手をつなげたのと、たっくんが好きって言ってくれたのと、たっくんが嬉しいのと、

もう、どれに喜べばいいのかわからない。

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