distance
夏祭りでは、道の脇にベンチを見つけるなり座らされた。
いちいち、「絶対にここから動くな」と何回も念を押しては、あたしが欲しがるものを全部ひとりで買いに行ってくれた。
嬉しいような、淋しいような複雑な気持ち。

それから、ごめんねって思った。


おばけ屋敷では、怖がるあたしに前を歩かせた。
正確には、目を瞑ってるよう言われて、右か左。
進む方向を指示された。
「俺がいるから、後ろからは何もこないからな?」って言われた。


ホントは、目を瞑って歩くのも怖いから、ちょっと薄目をあけてたけど、背中の方には安心してた。

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