世界の終末に。
彼女は、仕事もすぐに覚えた。
器量良しとは言えないけれど、人懐っこい笑顔で彼女は瞬く間に人気者になった。
そして、彼女は例によってプリンセスとおじちゃん達に呼ばれる様になった。
あの日、店長と一緒に冗談で話したことが本当になってしまった。
しかしながら、彼女がプリンセスと呼ばれることに対して、僕は密かに複雑な気持ちを抱いていた。
僕だって、すっかり忘れられているが、健全なる大学生の男の子だ。
時折、恋人が欲しくなることだってある。
そして、その恋人が美しいひとであることを望んだりもする。
彼女がみんなに可愛がられることは良いことだ、
彼女が特におじちゃん達のマドンナ的存在になること、それだって良いことだ。
けれど、彼女がプリンセスと呼ばれること。
つまり、それは、プリンセスというのは当然ながらお姫様ということだ。
お姫様というのは、王子様と恋仲にあるということだ。
僕はプリンスと呼ばれている。
おじちゃん達は、プリンスと言う言葉にうまいことあわせて、彼女をプリンセスと呼び出したのだろう。
そこに多分、深い意味など存在しない。
問題はおばちゃん達だ。