水曜日、16時20分
道行きはざわめいていた。冬の寒さも少しは和らいだとはいえ、まだ春は遠いようだ。冷たい風、身をすくめた。
芽衣の足取りはいつも軽やかで穏やかだ。いつも見惚れてしまう。
「先輩、かっこいいですよね」
振り返って大きな両目で私を見る。
「そんなこと、ないよ」
つられて笑顔になってしまう。なんか悔しい。
「芽衣は、なんていうか」
「はい?」
小さなその頭をそっと撫ぜる。
「かわいいよね」
「わ、やめてくださ……」
芽衣は恥ずかしがってちらりと周りを見渡した。それでも身をすくめるだけで逃げようとはしない。
なんかほんとに、かわいいかも。
ひとしきり撫ぜて手を離す。
「髪、さらさら」
「えへへ、秘密のリンスです。赤いパッケージの。えっと、コンビニに売ってるやつです」
「秘密にしてないというか自分でわかってないじゃん」
「えっと、だから秘密なんです」
「自分にも秘密になってるよ」
「そう、そうなんです」
「そっか。それでいいんだ……」
それからバス停までの間、お茶の話をした。
芽衣の足取りはいつも軽やかで穏やかだ。いつも見惚れてしまう。
「先輩、かっこいいですよね」
振り返って大きな両目で私を見る。
「そんなこと、ないよ」
つられて笑顔になってしまう。なんか悔しい。
「芽衣は、なんていうか」
「はい?」
小さなその頭をそっと撫ぜる。
「かわいいよね」
「わ、やめてくださ……」
芽衣は恥ずかしがってちらりと周りを見渡した。それでも身をすくめるだけで逃げようとはしない。
なんかほんとに、かわいいかも。
ひとしきり撫ぜて手を離す。
「髪、さらさら」
「えへへ、秘密のリンスです。赤いパッケージの。えっと、コンビニに売ってるやつです」
「秘密にしてないというか自分でわかってないじゃん」
「えっと、だから秘密なんです」
「自分にも秘密になってるよ」
「そう、そうなんです」
「そっか。それでいいんだ……」
それからバス停までの間、お茶の話をした。