水曜日、16時20分
ポンと背中を叩かれた。
不安定な姿勢でいた私は思わず地面に手を伸ばす。
びしゃりと生暖かい感触が指に触れた。
「げ」
声が降ってくる。
私は自分の背中を叩いた相手を確かめようとして後ろを振り向いた。
「飲んでるのか?」
飲んでない。私は、ただ。
「えっと、」
睨み付ける。大人の人だ。知っている人だった。さっきも見かけた、あれ、誰?
「みんなには秘密だからな」
肩を持って引っ張られる。一回転。地面が空に。
冷静に考えてみるとこれは、なんとお姫様だっこだ。
私は目を見開いて先生の顔を見ていた。なのに先生は一度だってこっちを見ようとしない。
あたりを見回して、ただ真剣な表情でどこかを目指しているようだった。
先生の足が地面を蹴る音だけが響いていた。
「立てる?」
立てる。
先生は私を足から降ろすと携帯電話をとりだして電話をかけていた。
きっとさっきの教師たちへと連絡をとっているのだろう。
私は自分の服についてしまったゲロを見た。
吐く時だって、服にかからないように気をつけていたのに。
くそっ
電話をかけている先生の足を蹴飛ばしてやった。
先生は電話したまましゃがんで、私に目をあわせてポンと頭に手を載せた。
子ども扱いだ。
何か言ってやろうと思ったけれど、その前に先生が人差し指を唇の前に立てた。
黙った私を見て口元を緩める。あ、笑顔。ポンポン。
頭に優しい感触を乗せて、すぐに先生は離れる。
どうして、涙が止まらないんだろう。
それからまた少し電話をして、2人で歩いて先生の家へと行った。
不安定な姿勢でいた私は思わず地面に手を伸ばす。
びしゃりと生暖かい感触が指に触れた。
「げ」
声が降ってくる。
私は自分の背中を叩いた相手を確かめようとして後ろを振り向いた。
「飲んでるのか?」
飲んでない。私は、ただ。
「えっと、」
睨み付ける。大人の人だ。知っている人だった。さっきも見かけた、あれ、誰?
「みんなには秘密だからな」
肩を持って引っ張られる。一回転。地面が空に。
冷静に考えてみるとこれは、なんとお姫様だっこだ。
私は目を見開いて先生の顔を見ていた。なのに先生は一度だってこっちを見ようとしない。
あたりを見回して、ただ真剣な表情でどこかを目指しているようだった。
先生の足が地面を蹴る音だけが響いていた。
「立てる?」
立てる。
先生は私を足から降ろすと携帯電話をとりだして電話をかけていた。
きっとさっきの教師たちへと連絡をとっているのだろう。
私は自分の服についてしまったゲロを見た。
吐く時だって、服にかからないように気をつけていたのに。
くそっ
電話をかけている先生の足を蹴飛ばしてやった。
先生は電話したまましゃがんで、私に目をあわせてポンと頭に手を載せた。
子ども扱いだ。
何か言ってやろうと思ったけれど、その前に先生が人差し指を唇の前に立てた。
黙った私を見て口元を緩める。あ、笑顔。ポンポン。
頭に優しい感触を乗せて、すぐに先生は離れる。
どうして、涙が止まらないんだろう。
それからまた少し電話をして、2人で歩いて先生の家へと行った。