逆らえない
ビクリと肩をすくませ、目を閉じる少女。

彼女の名前は安西めぐる。

瀬野達よりも一学年上。

水泳部は瀬野達三人と彼女を含めた四人のみ。

学年が上という事もあって、安西が男女を合わせての水泳部の部長だった。

しかしこのやり取りから見る限り、部長としての威厳は皆無に等しい。

「ご、ごめん…次からは気をつけるよ…」

オドオドと目を泳がせながら言う安西。

その態度は年上とは思えず、へりくだっている。

媚びていると言ってもいい。

下級生の瀬野達の顔色を窺い、まるでご機嫌を取っているようにも見えた。


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