感染者
もう待ち合わせの
時間だった。
どんなにがんばっても、
絶対に無理だった。
ピリリリ……
携帯は、けたたましく
鳴った。
「おい、お前どこいんだよ??」
ショウはキレ気味だった。
リナは素直に言った。
「ごめん、インフルエンザ、
なっちゃった……。」
電話の奥でため息が聞こえた。
「うぅっ……、ご、めんなさい……。」
泣いてしまった。
ショウの前では
泣きたくなかった。
しつこくて重い女は
嫌いらしいから。