海に降る雪
第一章 接点
ピューピューって吹く10月の風が、駅のホームを歩く私のカラダを包んでた、改札を出ると、風はより冷たく感じられた。駅前の広場に近づくにつれて、あのコの歌声と奏でるギターの音が、聴こえてきた「たての糸はあなた~よこの糸はわたし~」今日であの歌声を聴くのは何度目だろう、立ち止まった私に、男=「いつも、聴いてくれてありがとうございます!」私=「えっ…」男=「ボク、目が不自由なんですけど、足音で解るんです。いつも、立ち止まって聴いてくれてる人だって、今までも何度か、ありがとうございますって、言いたかったんだけど勇気がなくて、他に立ち止まって聴いてくれる人なんていないし、お礼がいいたくて」私=「…」私は、いきなりの問いかけに返事が、出来ずにいた、返事が出来ずにいる自分自身にだんだんと腹がたっていた…私=「ありがとうって言うのはこちらの方です…お金も出した事ないのに、たくさん歌を聴かせてもらってたのに…」
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