マイスィートアフタヌーン
「今後、ミス・シモンズの対応はフレディも可になったから。いやむしろ、彼を前面に押し出してよろしいようだ。今後ね、ぜひその方向で」

 言いながらも実は彼は、メアリーの持ってくる任務に真剣に腹を立てたことはなかった。

表すなら、空しさ。

なぜ自分がこのような羽目に陥ってしまっているのかという情けなさ。それがたいていの場合である。


「嵌ったな、フレディ。だから気をつけろと言ったのに」


 嘆いているような言葉ながらも、顔の方が正直だった。

レスリー、満面の笑みにて事態を歓迎。これで情けなさも半減というもの。

あれほどの男も嵌るのだから、自分だって嵌って良いのだ。


つまりあの娘(むすめ)の手による螺旋の罠に、巻かれず済む者はいないのだ。
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