マイスィートアフタヌーン
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1.
「絵でわかるものが存在するのよ。その子の直面している問題にまでたどり着くわ。無意識のうちに育っている危険な思いやそういった、言うなら内側からの蝕みね。描くときに人の心はまっさらになる。壁が消えて、本当の自分が出てきてしまうの。隠そうと躍起になるなら、隠している絵になるわ。知られたくないことをそんなに強く抱え込むこと。これがもう問題であるとは思わない?」
他には客のない店に、彼女の論は反響していた。
ドアに着いたベルの音にも気付かないのは、対して座った男性も同様。
窓の側で椅子の位置を直していた女主人が、肩をすくめて楽しそうな笑いを見せた。
きっと、もうずっと、この調子で過ごしているのだろう。