マイスィートアフタヌーン
「友人を頼って、アメリカに行く予定です。学生時代の親友がニューヨークで勤めているので、彼の力を借りれればと思って」


 メアリーアンとポーリィは、互いに顔を見合わせた。

家を離れ町を離れ、さらには国からも離れてゆくのか。手前の二つで止まっている自分たちを思い、少し見上げる気持ちを味わった。

それも新大陸。
船に乗り海を越え、十日もかかる別の土地。

不可思議だ。ジョン・W・ミルトンにそんな気持ちになるなんて思いも寄らぬことだった。


 隔週末ごとにおとなしく、母親の茶会に参加し見せる礼儀正しいその姿。
生徒たちはそんな姿を茶化して、特に『ミスター』と呼んでいた。

学院内で若い男といえば彼だけであったという話。


脅威である学学院長の血統の者にしては牙を持たないジョンの一挙手一投足を、彼女たちはくすくす笑いと共に見ていたものだった――


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