マイスィートアフタヌーン
無邪気な発言、盲目の信頼。

しかし人と出会うそのときに、良い人か悪い人かと迷いながら接していては、良い結果は望めないのでは。


真っ直ぐに曲がっているそんな考え方、母親に反発するあまりに生じた歪みのひとつに触れたかな、とフレディは思う。

空に近いグラスを手の中で転がして、ジョンに話を促した。


「ロンドンに出れば母は必ず、シティニュース社に足を運ぶだろうと予測できました。僕の友達を訪ね歩こうにも、一人として知らないんです。知っていたとしてもそんな真似をすれば、僕が行方をくらました事実を広めることになりかねないでしょう。学院の評判には過敏な母にできることではありません。事実はどうであれミス・メアリならば支配下の者ですから、口止めも可能だと考えたんですね、あの人は。女性が街で働くだなんてと、いつも眉を顰めていたくせに」
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