マイスィートアフタヌーン
「シティ・ニュース社に行くだろうと思いました。そしてミス・メアリに協力を要請するだろうとわかった。ここまでは同じです。そこで僕に重要であったのは、彼女がポーリィ・ルービンの友人であったことでした。あなたの言うとおり、危険などはなかったんです。だから僕は、しばらくは訪れることのないロンドンを気の向くままに動き回って過ごしていたんですよ」


 ここ数日春らしい太陽が続いているロンドンは散歩にも、そして思い出す風景として刻み込むにも相応しかったことだろう。


風は冷たさを忘れてしまい、凍り付いていた街路もすべて暖かさに染め直されていたのだ。

木は芽吹き、霜を消した土からはひょっこりとグリーンが顔を覗かしている。

目指す頂点(ピーク)を一年ぶりに思い出し、大挙してそちらめがけて走り出したというところ。
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