マイスィートアフタヌーン
 想像に難くない。
家を放り出してきた開放感と相まって、ジョンの足取りは弾んでいたに違いない。


「フリート街に差し掛かった時、さすがにここは危険だろうと思い足を速めました。しかし歩くうちに時間を計算し、母が手紙を見つけてから汽車に乗り、到着するまでにはまだ間があることに気付き、――ちょうどそこがシティ・ニュース社の前で……思い付きを」

「思い付き」


「えぇ」


少年がはにかむ様に、彼は笑った。ちらりと上げられた視線も、そんな風だった。
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