マイスィートアフタヌーン
「そう思っているということを、母君にぶつけてみることもできますよ。憎んでいるわけではないのなら、話をしてみたらどうかと言うのです。これが最後になると思えば恐れることなどないわけだし、これを言うと反発も入ると思いますが、滅多なことで学院を離れない母君が君を追ってここまでやって来たこと。その滅多なことであったという事実を支えにすることもできますよ」


「母は、ただ跡取りが惜しかっただけです。逃げ出したというのも風評よろしくない。僕が欲しかったわけじゃないですよ」


「反発が入ると言ったでしょう。でも一つ、それでも追ってきたことは事実である。そして、あの人の息子は君であるということも事実。君はずっと母君の良い息子さんで、実は気持ちをぶつけたことはないのではと思えました。母親なんだからわかってくれて当然だ、と考えてしまうのは、実のところ甘えに過ぎないとも言えてしまう。やってみてもいいんじゃないかなと、求められれば助言はこうです」
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