きみに守られて
「私、思うの。
人は生まれていろんな人を見て、
いろんなこと聞いて、
教えられて生きて行くでしょ。
親だったり、
友達だったり、
学校の先生だったりね。
教えてもらわないと
何も出来ないところってあるから。

それで本人の考え方とか、
誠意とか悪意が決まる部分があると思う。
教え方によっては
コロコロ直ぐに考え方変える人になったり、
簡単に裏切ったり、
強引に自分勝手を
通したりする人になったりする。
簡単に身につくから
簡単に済ませることもあるのかな、
人間関係とかね。
真剣に教えられていないから、
真剣に生きていかないのかもしれない。
でもね、
それを一言で環境のせいだとか、
誰かが悪かったとか安易に決め付けて、
生きて行くのもどうかなって思う。
教え方にも責任はあるけど、
一番大切なのは、
学び方だと思う。
正しい学び方ね。
どんなに悪辣な環境でも、
良い方向へ行く学び方が
あるはずだと私は信じている。
ユリ兄は
正しく学ぼうとして、
学べなくて
苦痛に歪んだ中を生きていたのよ。
簡単な道は沢山用意されていたと思う。
例えば・・
頑張れば女の人を騙して
食い物にするホストになれたかもよ」
優里は小悪魔的に微笑んだ。
微笑みながらユリツキを見つめた。

< 114 / 198 >

この作品をシェア

pagetop